反物質Ⅱ

反物質Ⅱ

反物質Ⅱ 終章

夏が来ると、大館の空は急に高くなる。田代の田んぼは青く厚くなり、風が通るたび、稲の列が遠くの海のように揺れた。男鹿の補助観測点で起きたことは、新聞には小さくしか載らなかった。旧施設への不正侵入、設備故障、関係者の任意聴取。神籠も、外殻片も、...
反物質Ⅱ

反物質Ⅱ 第15章 黒い神籠

男鹿の海は、夏の手前で足踏みしていた。空は明るいのに風は冷たく、波が岩に当たるたび、白い泡だけが先に季節を急いでいるように見えた。崖を背にした古い補助観測点は、水中通信施設という名で建てられ、地質調査の基地として使われ、いくつもの名を脱ぎ替...
反物質Ⅱ

保護中: 反物質Ⅱ 第14章 丸の内の盤面

このコンテンツはパスワードで保護されています。閲覧するには以下にパスワードを入力してください。 パスワード:
反物質Ⅱ

反物質Ⅱ 第13章 北へ消えた女

宗像幸司が佐藤涼に接触したのは、秋田の山に粉砂糖のような雪が残り始めた頃だった。指定された場所は、秋田駅から少し離れた古いホテルのラウンジだった。観光客の姿はなく、壁際の照明だけが琥珀色に落ちていた。佐藤は先に来ていた。湖底で最初にあの宇宙...
反物質Ⅱ

保護中: 反物質Ⅱ 第12章 田代の夜

このコンテンツはパスワードで保護されています。閲覧するには以下にパスワードを入力してください。 パスワード:
反物質Ⅱ

反物質Ⅱ 第11章 呼ばれた名

2032年5月、大館市の総合体育館には、春の終わりの冷えがまだ床の底に残っていた。入口のドアが開くたび、白神の方から下りてきた風が、竹刀袋の紐を小さく揺らした。県北地区の少年剣道大会。大館、鹿角、北秋田、能代、山本郡の道場が集まり、保護者の...
反物質Ⅱ

保護中: 反物質Ⅱ 第10章 丸の内の夜

このコンテンツはパスワードで保護されています。閲覧するには以下にパスワードを入力してください。 パスワード:
反物質Ⅱ

保護中: 反物質Ⅱ 第9章 アメッコ市

このコンテンツはパスワードで保護されています。閲覧するには以下にパスワードを入力してください。 パスワード:
反物質Ⅱ

保護中: 反物質Ⅱ 第8章 赤い髪の罠

このコンテンツはパスワードで保護されています。閲覧するには以下にパスワードを入力してください。 パスワード:
反物質Ⅱ

反物質Ⅱ 第7章 牙の値段

林麗華は、夜景の見えるホテルを好んだ。東京でも、香港でも、シンガポールでも同じだった。地上の人間が点に見える高さに身を置くと、国家も企業も、男たちの野心も、少しだけ正しい大きさに見える。2025年の初夏、宗像幸司は赤坂の高層ホテルの一室で彼...